2018年3月11日日曜日

優しい便り

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現在というものには、過去と未来のすべてが含まれています。過去と未来のすべてが表出したものが、現在です。現在が動的であるのは、このためです。

時間が流れるということです。

複雑で、深遠な時間の流れを思うとき、幸いにも、人は謙虚になることができます。個人の自意識では太刀打ちできないと、圧倒されるためでしょうか。素晴らしいことです。

自分ではない、圧倒的な何かに、思いを馳せることがあります。
優しくありたいという、希望のことかもしれません。星屑に願った、便りのことかもしれません。

すべての時間が表出した現在の、深遠さを思い、人は優しくなります。綺麗な時が、すべて閉じ込めてあります。時間も、現在も、動的で、複雑なものです。

fhánaの楽曲「星屑のインターリュード」に、次のような一節があります。
initialize その扉を
開ける時が来るのだろう
綺麗な時を閉じ込めて
湖に沈めたの
だけど私平気だよと
星の便りに綴る
優しい、星の便りです。
過去も、未来も、ここにあるから、平気です。

2017年12月31日日曜日

three albums of the year (2017版)

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道具を使い込んで、手を動かしているうちに、何かができあがってくる、わかってくる、ということがあります。手を動かして、道具を使い込むようにありたいものです。

道具を使うことについて、よく考えた一年でした。

特殊な道具ではありません。テキストエディタや、PCのキーボードなどです。
例えば、プログラマにとっては、タッチタイプができることが必ずしもベストなわけではないと、気づきました。コマンドを、いかに間違えずに素早く打ち込むか、ということです。
いわゆる、ホームポジション、タッチタイプといった、文章を書くときの常識と、プログラマの常識は、一致しなくてよいのかもしれません。自分なりに、道具を使い込むことです。PCのキーボードをタイプするだけでも、気づくことがあるものです。

不思議なもので、毎年、いくつかは新しく気づくことがあります。学ぶことがあります。文章を書くことがなければ、思いいたりませんでした。どうも、説明しにくい感覚です。

文章を書くことの道具は、ポメラです。ちなみに、タイピングのときには、ポメラならではの指の動きもあります。
PCの通常のキーボードよりも、ポメラの方が、文章を書くのは早いはずです。また、ポメラで実践できないのでなんとも言えませんが、通常のPCのキーボードの方が、コマンドを打ってUNIXやメインフレームOSやEclipseを操作するのは、早いはずです。

道具を使うことに、自分なりの気分のよい方式を見出しているのでしょう。
やはり、説明しにくいものです。あるいは、説明しにくいことほど、なんとか文章にしたいと感じるのかもしれません。

何の話かといいますと、私は毎年、その年でよかった音楽アルバムを、三枚選ぶことにしているのです。
さっそく、始めます。



『Nost』 / Ellen Allien

いつまで経っても、私はミニマルテクノが好きです。私の好きな音楽です。

昔と比べると、ミニマルテクノという言葉を聞かなくなったような気がします。強調する必要がなくなったのでしょうか。悪いことではありません。



『image』 / Maison book girl

音楽アルバムというのは、具体的に、瞬間に鳴っている音とは、別のものを表現することができます。ある程度の長さがあるためでしょう。平たく言うと、空気感とか、世界観とか、雰囲気とか、そういったものです。なかなか、平たくにしか言えないのが、難しいところです。

Maison book girl の音楽を好きになった年でした。



『Elektrac』 / Shobaleader One

こういったインストで、気分が盛り上がるといいますか、訴えかけるものがあるのが、私は好きです。人間は、意味ではないものも読み取ることができるのです。

それに、日本で生演奏を見られるとは思いませんでした。


終わりに


こちらの記事を読みました。万年筆のことです。

何でそんなことに夢中なの? (gofujita notes)

各々が、自分なりの熱中を見出しているのだ、とは、正しく、綺麗な回答ではあります。同時に、初心者にとっては、突き放されたものでもあります。自分にとっての熱中を、実際に見出してみないと、なかなか、納得しがたいものでしょう。

それでいて、どういった事情で熱中しているのかわからないのに、熱中していることだけは伝わるというのは、すごいことです。素晴らしいことでしょう。インタフェースとはこういうものなのか、とすら思います。
熱中している姿を観察できることは、初心者が、自分なりの楽しさを見出すことのできる未来の、第一歩です。

私は日常が好きです。

私が何度もご紹介させていただいている記事があります。文章を書くことを続けてきてよかったと思います。

日常を支えるという非凡な能力 | Notebookers.jp

この文章をお読みの方も、そうでない方も、私と関わりのあった方も、そうでない方も、私の好きな日常を、皆さまが少しずつ支えてくださっています。ありがとうございました。

これからも、よろしくお願いいたします。

2017年12月24日日曜日

2017年の<びっくら本> #mybooks2017

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いつだって、驚きというのは、世界の側にあります。
本を読むこととは、行為としては、文字を目で追うことです。本を読んでいるなかで、驚きを発見することがあるのは、不思議なことです。

こちらの記事を読みました。

【企画】2017年の<びっくら本>を募集します #mybooks2017 – R-style

本を紹介するというのは、よいものです。
私も、10冊の本をご紹介します。



『ゲーデル、エッシャー、バッハ』(ダグラス・R. ホフスタッター 著, 野崎 昭弘, 柳瀬 尚紀, はやし はじめ 訳)

私たちが、階層と再帰に魅了されるのは、なぜなのでしょうか。意味づけと物語に魅了されるのなら、同意できないこともありません。不思議なものです。

階層と再帰に自覚的な人とは、仲良くなれるような気がします。



『サピエンス全史(上)』『サピエンス全史(下)』(ユヴァル・ノア・ハラリ 著, 柴田 裕之 訳)

人間が、思っていたよりも賢くないと判明するところには、いつも、感動があります。私たちが知識を追い求めるのは、私たちがそれほど賢くないと、把握するためなのかもしれません。



『ポパーとウィトゲンシュタインとのあいだで交わされた世上名高い一〇分間の大激論の謎』(デヴィッド・エドモンズ, ジョン・エーディナウ 著, 二木 麻里 訳)

ふと、高邁な思想も、崇高な論理も、生身の人間が生み出したものなのだと、気づくことがあります。言葉になりにくい、気づきです。

言葉にならない気づきは、論理的にいって、伝達することが困難です。
考えてみれば、思想に高邁さは不要ですし、論理に崇高さは不要です。

どちらかというと、私はポパーが好きです。



『ライフハック大全』(堀 正岳)

思想に崇高さは不要ですし、意味づけが過剰になる様子を、私は避けています。語の意味ではなく、使用を問うのだと言ったのは、ウィトゲンシュタインでしたでしょうか。

ライフハックのようにありたいものです。



『グーテンベルクの銀河系』(マーシャル・マクルーハン 著, 森 常治 訳)

銀河系のような文章が好きです。
私は雑誌が好きです。グーテンベルクの銀河系も好きです。



『街場の読書論』(内田 樹)

たとえば、何かを、確かに自分で発想したと信じられるための、過程があります。困難でも、伝達されようとするダイナミクスのことかもしれません。少なくとも、伝達されようとする価値があることです。

価値とは見出されるものだからです。



『数学者たちの楽園』(サイモン・シン 著, 青木 薫 訳)

真剣に何かを作り上げようとする人がいました。

作り手が、真剣で、作る対象に没頭しているとき、受け手は、抽象的であることができます。多様であってよいということです。

抽象的で、個々に多様さを許しているほど、品が良いというか、清廉になります。インタフェースが優れているというわけです。ソフトウェア工学だと、モジュール結合度と呼ばれます。



『読書礼讃』(アルベルト・マングェル 著, 野中 邦子 訳)

本ばかり読むというのは、よいものです。
まだ、読んでいない本があるからです。



『生命とは何か』(シュレーディンガー 著, 岡 小天 訳, 鎮目 恭夫 訳)

私の他にも、生命とは何か、などという、とりとめのないことに悩んだ人がいたようです。安心しました。

ところで、生命とは何なのでしょうか。



『博物誌』(ジュール・ルナール 著, 岸田 国士 訳)

いつだって、驚きというのは、世界の側にあるのです。


終わりに


本を紹介するというのは、よいものです。
まだ、読んでいない本があるからです。

2017年11月12日日曜日

11月といえば自分の好きなブログを告白する月…ということです2017

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語るべき思想と意図が少ない人に、私は好感を持ちます。私もそうあるように、日々を過ごしています。

私なら、ただのプログラマで、読書家です。

ヴィジュアル系ロックバンド、the GazettE のベース、REITAさんのインタビューを読みました。雑誌『ROCK AND READ 073号』からです。
(インタビュア) で、最初にサマーソニックに出るとき、RUKIさんがたしか、あくまでヴィジュアル系として挑むみたいなことを言っていたと思うんです。ヴィジュアル系っていうことについてはREITAさんはどう思っているんですか?
(REITA) ヴィジュアル系って、なんて言うんですかね、言ってしまえばイメージ悪いじゃないですか(笑)
RUKIさんというのは、同じ the GazettE のボーカルです。
イメージが悪いことに否定はできません、と返されて、続けます。
(REITA) でも、それっておそらく見た目の話だったりすると思うんですよ。(中略)ファンと一体となって、あんなわざわざ暑い服着て、もう汗だくになってやってる。俺はこれが何よりのロックじゃないかと思うわけですよ。
ヴィジュアル系だから、わざわざやっています。ヴィジュアル系だから、別に、当たり前のことです。
(インタビュア) つまり、ヴィジュアル系に強い誇りを持ってるわけですね。
(REITA) 持ってます。俺たちはもう、言ってしまえばただのヴィジュアル系だと思ってるんですよ。
語るべき意図はありません。ただのヴィジュアル系です。
異端と指さされる人には、不思議と、指さす人への理解と優しさがあるものです。

何の話かと言いますと、11月といえば自分の好きなブログを告白する月なのです。
さっそく、始めます。

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くらしすたんと

ふつうに生活していれば、困ることも、苦労することもあります。
困ったことも、工夫したことも、書かれているブログです。

自分が困ったことについて、よくわかっているということでしょう。悪いことではありません。

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delaymania

食事に出かけたことについての記事が好きです。

おいしそうな食事の写真を見るのが、私は好きです。実際に食べるより、好きです。

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iPhoneと本と数学となんやかんやと

私も、情報カードは名刺サイズを使います。

カードを並べて操作することは、あまりありません。名刺サイズの情報カードが好きなだけなのかもしれません。私の話です。

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涯てお茶

個人的なことが書いてあります。私の好きな文章です。世界の涯てで、お茶を飲んでいるようです。

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R-style

ブログのデザインが大きく変わりました。
invisible hardship です。

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やよこぶろぐ

脇目も振らず、具体的なところが好きです。
言葉にしにくい感覚なのですが、私が劇団四季を好きであることと、似ています。

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Word Piece >>by Tak.

アウトライナーで扱うアウトラインは、構造を示している訳ではないと、私も思います。アウトライナーの偉いところです。

ここに「扱う」という表現を持ってこられるところに、筆舌に尽くしがたいものを感じます。
そういうブログです。

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鷹の爪団の吉田くんはなぜいつもおこったような顔をしているのか

毎日、少しだけ新しいことを考えて、新しい文章を書かれます。
1年まえも、おなじような11月でした。

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gofujita notes

文章を書くことが好き、なのかはわかりませんが、少なくとも、日常に取り込まれているようです。

書くことが日常に取り込まれている人の、書くブログです。


終わりに


異端と指さされる人は、非対称に優しいものです。
『喜嶋先生の静かな世界 The Silent World of Dr.Kishima』(森博嗣)からです。
「変だよね。そうやって、心みたいな言葉を持ち出さないといけないっていうのが、もう変だよね。みんなが変なんだよ。数式を一所懸命考えている人って、みんなのことを認めているのに、人間の心がどうこうって言う人は、数式を考えている人を認めないじゃない。他人を認めない人の方が、人間として、なにか欠けているじゃない?」
優しいのは、ただの数学者だからでしょう。